練馬総合病院

診療部

子宮内膜症とは

子宮内膜症とは、子宮内膜もしくは子宮内膜に似た細胞が、卵巣や腹膜や靭帯などの主に子宮外の骨盤内臓器で増殖・剥離をくり返し、組織に血液が溜まり月経困難、慢性骨盤痛、排便痛、性交痛、排便障害、排尿障害、不妊など様々な症状をひきおこす疾患です。

生殖年齢の5-15%、月経困難な方の15-38%、不妊に悩む方の25%が子宮内膜症と診断されています。女性ホルモンの刺激で増悪することがわかっています。

稀に臍、肺、膀胱、肝臓、会陰部、鼠径部にも発症することがあります。病状が進行すると、臓器の機能不全や癌化することがあり、早期発見、治療、予防が大切です。

子宮内膜症の治療

月経困難症・子宮内膜症・子宮腺筋症の治療に用いる薬剤

薬剤の種類 適応症 作用
鎮痛薬 各添付文書参照 比較的軽い症状の痛みを取り除く対症療法です。
漢方薬 各添付文書参照
ホルモン剤 LEP (低用量または超低容量エストロゲン・プロゲスチン配合剤 月経困難症 妊娠時に近いホルモン状態にすることにより、月経痛などの症状を抑えます。
プロゲスチン製剤 ディナゲスト:子宮内膜症

子宮腺筋症に伴う疼痛の改善

子宮内黄体ホルモン放出システム:

月経困難症・過多月経・避妊

女性ホルモンの分泌を抑え、直接病巣にはたらいて病巣の縮小と諸症状の改善をもたらします。
GnRHアゴニスト スプレキュア点鼻:子宮内膜症、中枢性思春期早発症、子宮筋腫の縮小及び子宮筋腫に基づく下記諸症状の改善、過多月経、下腹痛、腰痛、貧血

リュープロレリン酢酸塩1.8:子宮内膜症、過多月経、下腹痛、腰痛及び貧血等を伴う子宮筋腫における筋腫核の縮小及び症状の改善、中枢性思春期早発症

性腺刺激ホルモンの分泌を抑え、閉経時に近い状態をつくり病巣を小さくします。
ダナゾール ダナゾール100mg:子宮内膜症・乳腺症

ダナゾール200mg:子宮内膜症

最も古くから使用されている薬剤で、性腺刺激ホルモンの分泌や女性ホルモンの分泌を抑え症状の改善をもたらします。

子宮内膜症に対する手術とは

手術には根治手術と妊孕性温存手術があります。

根治治療とは病変の完全切除と発症源である子宮と女性ホルモンの分泌源である卵巣を切除する術式です。術後、再発のリスクが極めて低い一方で卵巣機能低下に伴う更年期症状が出現することがあります。この場合、ホルモン補充療法で症状の改善が期待できます。

妊孕性温存手術は今後、妊娠を望む方に対して病変を徹底的に切除する一方で子宮と卵巣周囲の癒着を剥がし骨盤内環境を整復させる術式です。

再発リスクは骨盤内の子宮内膜症の重症度や患者の年齢によって異なります。術後月経再開と共に再発リスクが生じますので再発予防のホルモン治療が必要なことがあります。一方で速やかに妊娠を希望される場合は、高度生殖医療も含めた積極的な妊娠への取り組みを含めた不妊治療を提案しています。

不妊の原因には様々なものがありますが、重症子宮内膜症と高齢などの複数の因子が疑われる場合は術前から綿密な治療計画が大切になります。手術は原則として内視鏡手術を行っております。

腹腔鏡下手術の利点は①開腹手術と比べて低侵襲で術後の痛みが少なく回復が早い、②スコープにより術野を拡大して観察できるのでより繊細な手術が可能、③出血が少ない、④傷が小さく美容上優れている、⑤術後腹腔内癒着が少ない、⑥腹腔内の深く狭い空間の操作が可能、などです。

※詳しくは当院産婦人科までお問い合わせください

子宮内膜症に対する治療法の選択とタイミング

子宮全摘すると、痛みの著明な改善が期待されますが、
卵巣を温存すると、子宮内膜症は稀に再発することがあります。
術後のホルモン療法で、その危険性を下げることが可能です。

再発(-) 再発(+) 再発率
子宮全摘 1434 40 (*37/3) 2.8%
子宮・卵巣・卵管全摘 511 1** 0.2%
卵巣卵管全摘 24 0 0%

*術後ホルモン治療なし/術後ホルモン治療あり。            From 2004 to 2018
**術後の更年期症状の治療目的によるホルモン補充中に発症した。

妊孕能温存手術は再発リスクが高く、再発予防の対策が大切です。
早期の妊娠やホルモン療法が再発を予防することが期待できます。

     再発部位の内訳

再発部位 症例数
卵巣 222
子宮 23
直腸 9
ダグラス窩 5
腹膜 5
深部子宮内膜症 5
尿管 3
膀胱 1
卵管 1
 ( 局在不明の月経困難) 2
再発/全症例 再発率
2004年1月〜2007年12月 67/271 24.7%
2008年1月〜2018年12月 85/1750 4.9%
全期間 152/2021 7.5%

白根 晃 学会報告より

重症子宮内膜症の一つである直腸子宮内膜症の温存手術では術後ホルモン治療をしなかった場合、15例6例で再発を認め、再発時期の中央値は6ヶ月でした。
極めて再発の危険性が高いことがわかります。

✓術後ジェノゲスト2mg服用した群では、再発を認めなかった。

✓術後再発は15例中6例 (1例直腸, 5例卵巣)で、その多くが内膜症予防のホルモン治療を出来ない
不妊治療中に発症した。

✓再発までの中央値は6ヶ月であった。                 白根 晃  学会報告より

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