ASCO/JSCO フェローシッププログラム 選出(泌尿器科 髙松公晴)
この度、髙松公晴医師がASCO/JSCO フェローシッププログラムに選出され、2023年6月1日から14日にかけてASCO学術集会と米国City of Hope国立がんセンターを訪問しました。
JSCO, Japanese society of clinical oncology, 日本臨床腫瘍学会は、約9,000名の会員数を誇る、日本のがん専門医の団体です。ASCO学術集会(ASCO, American Society of Clinical Oncology, アメリカ臨床腫瘍学会)は年に1回開催され、世界中から25,000人を超えるがん専門医が集まり、5,000以上の演題が発表される世界最大のがん学会です。
がん医療は短期間に驚くほどに高度専門化しています。また、がん医療のグローバル化が急速に進み、国際協調なくして日常医療すら成り立たない時代になりつつあります。
ASCO/JSCO フェローシッププログラムはこうした状況に鑑み、日本臨床腫瘍学会が各がん領域の専門医を選出し、ASCOと協働して著明な米国の専門家と協力関係を築くものです。髙松医師は泌尿器系がん専門医として唯一選出され、ASCO学術集会への参加、発表と、米国City of Hope National Medical Centerの泌尿器悪性腫瘍を担当するS.K. Pal 教授を訪問しました。
髙松医師の発表演題は「Uncovering LAG-3 related tumor immunology in renal cell carcinoma and pan-cancer evaluation」です。髙松医師は、新規免疫チェックポイント分子であるLAG-3を優位に発現する腎がんの予後が悪いことを見出しました。また、LAG-3を優位に発現する腫瘍が腫瘍免疫に対して抑制的な免疫環境を有することを見出しました。新規チェックポイント阻害剤は腎がんのみならず、がん種横断的に使用されることが想定されます。そこで髙松医師は大腸がん、悪性黒色腫、非小細胞性肺がんの遺伝子解析情報を用いてLAG-3高発現腎がんの持つ特徴的な免疫環境が、腎がんに特徴的なのかあるいは他がん種に共通なのかを探索しました。その結果、LAG-3高発現腎がんの持つ特徴的な免疫環境は腎がん特有のものであることを見出しました。本研究は今後のがん薬物療法の開発に寄与することが期待されます。