脳出血について知りたい患者さん、脳出血と診断された患者さん向け
・片側の手足が動かしにくい
・ろれつが回らない
・言葉が出てこない
・経験したことがないような突然の頭痛があり、嘔吐してしまった
・片目が真っ暗になって短期間見えなくなった
上記のような症状は脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血のいずれか)が疑われます。速やかに救急要請あるいは受診相談をお寄せください。
脳出血について
加齢、高血圧、糖尿病、喫煙などが脳出血の原因になります。脳出血を起こすと、起こした部位によって障害が出現します。例えば、運動神経に関係する脳の部位が脳出血になると、片手足の麻痺、ろれつの回りづらさを発症します。感覚神経に関係する部位の脳出血だとしびれや自分の手足の位置が分からない症状、言葉に関係する部位だと言葉が喋れない、理解できない症状がみられます。脳出血があまりに大きい場合は、意識障害をきたし、反応がない状態になります。重症脳出血では、死亡、寝たきりになることがあります。
近年では高齢化に伴い、認知症に伴う脳出血(アミロイドアンギオパチー)が増えています。これは認知症が基礎疾患にある患者さんに多いタイプの脳出血で、認知症の原因となるアミロイドという物質が脳の血管に沈着することで、脳血管がもろくなり、脳出血を起こします。脳の表面に近い箇所に脳出血を起こすことや、何度も複数の箇所に脳出血を繰り返してしまうのが特徴です。
脳出血の治療について
脳出血ということが分かったら、血圧が高いと脳出血が拡大することがあるため、患者さんの状態に応じて血圧を下げる薬を使用します。入院後、脳出血が拡大せず、止血していることが確認されたら、リハビリを開始します。
脳出血が大きい場合は、手術で出血を摘出することがあります。開頭手術が従来スタンダードでしたが、近年はカメラを使った内視鏡手術で出血を除去するという手法もあります。あくまで一般論ですが、開頭手術は傷が大きい一方、内視鏡手術は小さな傷で手術可能です。手術時間も内視鏡手術の方が短い傾向があります。但し、手術中に何かあった時の対応力については開頭手術の方が高いため、ケースバイケースで選択されます。
出血してしまった脳出血は自然に患者さん自身の力で徐々に吸収されていきます。脳出血が吸収される期間は2-4週間程度のことが多いです。小さい脳出血ほど吸収が早い印象です。ただし、出血が吸収されたからと言って、脳出血になった脳が再生することは残念ながらありません。後遺症が残るかどうか、回復するかどうかはリハビリにかかる要素も大きいです。
脳出血の入院期間について
脳梗塞の患者さんと同じく、脳出血の患者さんの入院期間も患者さんの状態に応じて大きく異なるため、主治医に確認するのが良いです。一般的な話ですが、救急車の受け入れを数多く行う急性期病院に入院している場合、脳出血のリハビリが2-3週間以上見込まれる時は、リハビリの専門病院に転院する流れになります。当初脳出血によって状態が思わしくなくても、粘り強くリハビリを継続することによって回復することがあります。