肝臓の病気
> 肝臓がん(肝細胞がん)とは
> どのような検査をするのでしょうか?
> 肝細胞がんと診断されたら?
> 肝細胞がんの治療は具体的にはどうするのでしょうか?
患者様へ
肝臓の病気
肝臓がん(肝細胞がん)とは
肝臓がんとは、肝臓にできるがんのことを言いますが、これは肝臓そのものからできてくる原発性肝がんと、他の臓器(胃や大腸など)から肝臓に転移してきた転移性肝がんに大きく分けられます。
さらに、原発性肝がんはその由来する細胞によって、肝細胞がん、胆管細胞がん、その他のものに分けることができますが、これらのなかで肝細胞がんの占める割合が90%と最も多いため、一般的に肝臓がんというと肝細胞がんのことを指します。
どのような検査をするのでしょうか?
肝細胞がんの検査としては、血液データ測定(腫瘍マーカー)、超音波検査、CT検査、MRI検査、血管造影検査などを行います。このようなあらゆるモダリティを駆使することによって的確に診断することができ、さらには一般的に見逃されやすいとされる早期の肝細胞がんや微小な病変などを漏らさずチェックすることができます。
また、肝細胞がんを治療するためには「がんである」という診断はもちろんのこと、肝臓の機能や予備力、さらにがんであった場合に個数や広がり具合などを総合的に確認して治療方針を立てる必要があり、このようにさまざまな検査を組み合わせて行うことでそれが可能となるのです。
肝細胞がんと診断されたら?
肝細胞がんの治療法は多岐にわたりますが、腫瘍の状態と肝臓(患者様)の状態を天秤にかけながら患者様個々人に合った適切な治療を選択していきます。肝障害の程度が調べられたら、それをもとに次項で述べるたくさんの治療法の中から、患者様の状態に合わせた治療方針を選択します。
肝細胞がんの治療は具体的にはどうするのでしょうか?
肝細胞癌の治療には肝切除、アブレーション(焼灼療法)、肝動脈塞栓療法(TAE)、分子標的薬(薬物療法)、放射線治療、肝移植などがあります。この中で肝切除はがんを体から切り取ってしまうため、他の治療法に比べて確実な方法と言えます。ただし、肝臓は生命の維持に必要な臓器であり、切除後に残る肝臓が生命の維持に充分ではなくなってしまう場合は手術の適応とはなりません。肝細胞癌の殆どは慢性肝炎、肝硬変といった肝臓機能障害を持った人にできるため、手術前に肝臓の機能(前述の肝障害度や肝硬変の程度)を詳しく調べることが重要になってきます。当院では腹腔鏡を用いた肝切除を積極的に行っています。一般的に腹腔鏡の手術は難しいとされていますが、さらに工夫を加えて解剖学的理解に則って肝切除を行うことにより、格段に安全かつ確実な手術が可能となります。当院は腹腔鏡下肝切除を実施する施設基準を満たしています。
患者様へ
これまでに述べてきたように肝細胞がんは患者様の状態、癌の状態によって実に多くの治療の選択肢がある病気です。当院外科では、慶應義塾大学病院をはじめとする他施設と密に連携をとって患者様個々人に沿ったベストの治療法を提供しております。「外科に受診したから手術」というわけではありません。個別の状況を勘案してより良い道を必ずや探し出しますので、まずはお気軽にご相談ください。