練馬総合病院

診療部

膵臓の病気
> 膵癌(膵臓がん)とは?
> 自覚症状はありますか?
> どのような検査をするのでしょうか?
> 膵癌と診断されたら?
>> 膵癌に対する集学的治療
専門外来
> 膵癌外来 (月曜日午後)

膵臓の病気

膵癌(膵臓がん)とは?

膵癌は、膵臓に生じるがんのことです。膵癌と新たに診断される人数は、男女ともに2万人を超えています。年齢別では、60歳ごろから増え、高齢になるほど多くなります。日本の悪性腫瘍による死因で膵癌は男性4位、女性3位であり、がんの部位別死亡数の順位は年々上昇傾向にあります。

性別 1位 2位 3位 4位 4位
男性 大腸 膵臓 肝臓
女性 大腸 膵臓 乳腺

一般的に膵癌の治療成績は決して良好とはいえず、治療に難渋することもしばしばです。我々は膵癌に対して最善の結果がご提供できるよう、治療のみならず診断(超音波内視鏡やERCPを含む)から診療を行っています。さらに、地域の膵癌の治療成績を向上させることを目標に、地域の先生方と連携して膵癌の早期診断への取り組みを行っています(膵臓外来)。

自覚症状はありますか?

初期には食欲不振、腹満感、軽度体重減少などの漠然とした症状であることがほとんどであり、国内の膵癌集計によると、初発症状のない膵癌は15.4%にのぼるとされています。膵臓は部位により膵頭部、膵体部、膵尾部と名前がついており、膵頭部にできる癌を膵頭部癌、膵体部・尾部にできる癌を膵体尾部癌といいます。膵頭部癌では皮膚や目が黄色くなる黄疸が出現することがありますが膵体尾部癌では症状が乏しいため、手術の可能な段階で癌を発見するのは難しいとされています。また糖尿病が高率に見られ、中年以降に発生した糖尿病や、急激に血糖値が悪くなったりした場合には必ず膵癌を疑って精密検査を行うべきです。他にも、検診で腫瘍マーカー(CA19-9)の上昇、膵臓の超音波異常などを指摘された場合には、膵癌の可能性を考慮して当院の膵臓外来を受診してください。

どのような検査をするのでしょうか?

血液検査では膵酵素、腫瘍マーカー、血糖値などを調べます。画像検査としてはまず腹部超音波検査やCT、MRI、PET-CTなどで腫瘍の位置や大きさ、周囲の血管や臓器への浸潤の程度、肝臓、肺などの遠隔転移やリンパ節腫大、腹水の有無を診断します。遠隔転移や広範なリンパ節腫大があれば手術適応はなく、化学療法などに移行します。最近では膵臓癌の早期病変におけるEUS(超音波内視鏡)の有用性が重要視されており、当科では地域の患者様の積極的な受け入れと検査を行っています。膵癌を強く疑う場合には膵管を観察する内視鏡検査である「内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)」を行い、診断のための組織採取や、黄疸がある場合にはその治療も同時に行います。

膵癌と診断されたら?

膵癌に対する集学的治療

膵癌は発見時には既に進行していることが多いばかりでなく、膵癌そのものの悪性度も高いため、消化器癌の中では最も治療しにくい癌の一つです。切除不能進行状態(局所進行、遠隔転移)の膵癌に対しては化学療法を主体とする治療が実施されます。初回に実施される抗癌剤治療の選択肢にはFOLFIRINOX療法、GEM+nab-PTX療法、GEM単独療法、S-1単独療法、GEM+S-1療法などがあります。また、たとえ膵癌を手術により切除できる場合でも、術後早期に再発してくることは珍しくありません。このため特に切除可能境界と判断される膵癌に対しては、手術単独治療ではなく術前・術後に抗癌剤治療や放射線治療を併用することが推奨されています。さらに近年では、切除可能膵癌にも術前・術後に抗癌剤治療を実施することの有用性が示されています。このように、手術単独でなく化学療法や放射線治療を組み合わせて行う治療を「集学的治療」といいます。集学的治療の発達により、近年では当初は切除不能(局所進行)と考えられていた膵癌が切除可能となることも報告されています。

手術は膵頭部側の病変では亜全胃温存膵頭十二指腸切除術、体尾部側の病変では膵体尾部切除術が選択されます。特に膵体尾部切除術は腹腔鏡下手術を選択する場合があり、当院はその施設基準を満たしています。

集学的治療は、経験豊富な肝胆膵専門の医師により厳密に実施されます。また、放射線治療は提携する施設と連携して実施しています。

専門外来

膵癌外来 (月曜日午後)

日本肝胆膵外科学会高度技能専門医(リンク貼る)の今井医師が担当します。

「早期診断から拡大手術まで」をテーマに、あらゆる手段での膵癌治療をご提供します。

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