妊娠希望外来とは
妊娠希望外来とは、妊娠を希望されるカップルに妊娠の仕組みの知識を提供し、妊娠を支援する外来です。妊娠は生命の神秘であり、未知の領域がたくさんあります。正しい知識を身につけていただき、妊娠への近道を案内いたします。
卵子は卵胞という卵巣内の卵子を育てる部屋で十分に発育してから排卵します。放出された卵子は、卵管が取り上げ卵管で待機しています。
正常妊娠に至るにはこの卵子が精子と卵管内で出会い(受精し)、子宮に辿り着く(着床する)ことが必要です。排卵のタイミングと精子が腟から子宮を経て卵管に至る時期が一致していることがいいと考えられています。
妊娠を希望される方への検査について
妊娠する機能を調べるには、女性については、⑴良好な卵子を作る能力を調べ(ホルモン検査)、子宮の内腔奇形や卵管につまりがないかを検査(子宮卵管造影検査)します。必要に応じて、子宮の内部を観察する子宮鏡検査や、骨盤内を観察する腹腔鏡検査も提案します。男性については、精子の量や運動能力や形状に問題がないか確認します。これらの検査結果を経て治療を開始します。
不妊治療について
卵管に異常がないことを確認したら、第一段階は排卵の時期を超音波検査や尿検査で予測し、妊娠に望ましい夫婦生活の時期をお伝えするタイミング治療です。
卵胞の発育が不十分な場合は、成長を促す薬や注射を施行します。また排卵されにくいと判断した場合や排卵時期を調節する目的で排卵に導く注射を行うこともあります。
タイミング治療で妊娠に至らない場合は、次の段階として人工授精を行います。人工授精はタイミング治療と同様の方法で排卵の時期を予測し、採取した精液を処理(洗浄、活性化)して細い管(カテーテル)に入れて子宮の奥に送り届けるものです。
卵子の出会いの場である卵管により近い部分まで精子を送り届けることによって受精を促す治療です。これらの治療でよい結果が得られない場合、両側卵管の閉塞が疑われる場合、精液所見が不良な場合あるいは最初からより高度な治療を望む場合は体外受精センターに紹介します。
不妊の原因となる疾患に対する手術について
妊娠を妨げる疾患には子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜症、子宮内膜ポリープ、多嚢胞性卵巣症候群、卵管周囲癒着、卵管水腫、卵管閉塞、子宮奇形などがあります。
先の治療で妊娠に至らない場合、またはこれらの疾患の治療を先行させた後に妊娠を試みた方がいいと判断した場合、手術を勧めることがあります。
手術は子宮鏡手術、内視鏡手術を第一選択とし、状況により開腹手術を要することもあります。手術は日帰りから入院を要するものまであります。 子宮鏡下手術 腹腔鏡下手術
不妊と女性の年齢
妊娠・分娩に最適な年齢は20 歳代、おそくとも35 歳までと考えられます。
30 歳を超えると女性が自然に妊娠する可能性は少しずつ低下し、35 歳くらいから急激に低下します。自然妊娠を強く望むのであれば、できるだけ30 才前に妊娠・分娩する事をおすすめします。
45 歳を過ぎると、体外受精や顕微授精を行っても妊娠することはほとんどありません。また、35歳以上では、流産や、ダウン症などの胎児異常がおおくなるので、35 才までには妊娠・分娩することが望ましいです。生殖医学会HPから抜粋