鼠径(そけい)ヘルニアについて
鼠径(そけい)ヘルニア手術の特徴
> 入院に関するストレスが最小限ですみます
> すぐに社会復帰できます
> 家族の方も楽です
何かと不安があるのですが
> 帰宅後に何かあったらと不安なのですが
> 痛みがあるのではと不安なのですが
> 傷あとが残るのではと不安なのですが
> 再発するのではないかと不安なのですが
誰でも日帰り手術が受けられますか?
> あまり大きくない鼠径ヘルニアの人
> 傷の痛みがあまり心配していない人
> 手術を受ける上で問題となる基礎疾患がないこと
手術の予約
> 外来は予約なしで受付けてもらえますか?
> 外来受診の日に手術日は決まりますか?
> 土曜日や日曜日に手術はできませんか?
帰宅後の生活
> 日常生活の活動はどのくらい行ってよいのですか?
> シャワー開始の時期はいつ頃ですか?
> 仕事復帰の時期はいつ頃ですか?
> 飲食での注意はありますか?
> 合併症に関して、どのような注意をすればよいのでしょうか?
鼠径(そけい)ヘルニアについて
本来ならお腹の中にある小腸などが、足の付け根の前方(鼠径部)から皮下にはみ出してふくらんでくる病気です。俗に脱腸と言われています。鼡径部はおなかの筋肉が弱いが弱い部位です。年齢や生活習慣により、内臓が腹膜に包まれた状態で、おなかの壁を突き破って出て来ると鼠径ヘルニアを発症します。
子どもの脱腸は自然に治ることもありますが、大人の場合は自然には治りません。放置しておくとだんだん大きくなります。現在では鼡径ヘルニアの治療方法は、手術が唯一の治療法です。
手術当院では、2種類の手術方式を採用しています。
- メッシュ・プラグ法
- 腹腔鏡下鼡径ヘルニア修復術
上記いずれの手術もメッシュを使用し手術を行います。
腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術の場合、メッシュ固定のための通常タッカー(小さな釘のようなもの)を使用しメッシュを組織へ固定します。一般的に術後3か月以上経過しても改善しない疼痛が10-18%見られるとの報告があり術後慢性疼痛と呼ばれます。術後慢性疼痛の原因の一つにタッキングによる神経損傷の可能性があります。当院では、ヘルニア術後の慢性疼痛を軽減するために、タッカーを使用しないタッカーレスメッシュを使用し手術を行っています。
当院では、手術を行った当日に帰宅する「日帰り手術」と、入院当日に手術を行い手術翌日に退院する「1泊2日入院」が可能です。いずれも全身麻酔下に手術を行います。手術の開始時間によっては、日帰り手術ではなく、1泊2日入院をお勧めします。
鼠径(そけい)ヘルニア手術の特徴
入院に関するストレスが最小限ですみます
入院期間が短いため入院に関するストレスが最小限ですみます。日帰り手術の場合は、寝なれないベッドに寝たり、隣の患者さんに気をつかったりせずに、住み慣れたいつもの自宅で過ごすことができます。環境が変わることによるストレスがありません。
すぐに社会復帰できます
事務などの軽い仕事でしたら、退院翌日から職場に復帰することが可能です。
家族の方も楽です
お見舞いの必要がありません。小さい子どもがいても心配ありません。
何かと不安があるのですが
帰宅後に何かあったらと不安なのですが
手術後に安全に確認してから帰宅していただきます。その後に何かあった場合でも、いつでも対応させていただきます。それでも不安な方には、手術当日は病院に泊まる1泊2日コースもご用意しています。
痛みがあるのではと不安なのですが
麻酔医による全身麻酔法で手術を行います。術後の痛みは、傷の周囲が痛みますが、日常生活はほぼ可能です。
傷あとが残るのではと不安なのですが
メッシュプラグ法では傷の大きさは約4~6cmとなります。体内で吸収される細い糸で縫うので、抜糸の必要はありません。腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術の場合は、おへそに約1.5cmの傷のほかに、おへその左右にそれぞれ5mmの大きさの傷となります。
再発するのではないかと不安なのですが
どちらの術式で手術をした場合でも約3%に再発することがあると言われています。
誰でも日帰り手術が受けられますか?
希望する人すべてに日帰り手術が可能なわけではありません。次のような条件があります。
あまり大きくない鼠径ヘルニアの人
こぶしより大きなヘルニアは術後に水が溜まったりするなどの合併症の可能性が高いので、日帰りはお勧めしません。
傷の痛みがあまり心配していない人
通常は傷の痛みが数日持続します。手術の翌日から日常生活が可能な程度の痛みとなる予定ですが、完全に痛みがなくなってから退院をしたい方は、日帰り手術には向きません。あらかじめ通常の入院手術を希望と申し出てください。
手術を受ける上で問題となる基礎疾患がないこと
心臓病、喘息、肝硬変、出血傾向など、手術自体の危険性が高い方はできません。
手術の予約
外来は予約なしで受付けてもらえますか?
完全予約制ではありませんので、当院外科の受付時間内にお越しください。但し、多少お待ちいただくようになります。ご予約をご希望の場合は、お電話で承っております。
外来受診の日に手術日は決まりますか?
手術日を決める前には、採血・レントゲン・心電図などのチェックを行ないます。これらの検査には、1時間余りかかります。多少、余裕をみてから早めにいらしてください。
心疾患や糖尿病などの基礎疾患がある場合は、基礎疾患に対する術前検査を行う必要があるため、初診の際に手術日が決定できないことがあります。
土曜日や日曜日に手術はできませんか?
手術を行なうのは、平日のみです。
帰宅後の生活
日常生活の活動はどのくらい行ってよいのですか?
- 手術当日の自動車の運転は避けてください。
- 階段の上り下り・軽い散歩などは、手術後から可能です。一泊二日入院の場合は入院の際に行動範囲の指示がありますので従ってください。
- 自転車に乗ったり、筋肉トレーニング、水泳、ジョギング、テニス、ゴルフなどのスポーツは術後2週間程度、お控えください。
シャワー開始の時期はいつ頃ですか?
術後1日目より、傷口をこすらないように静かにシャワーを浴びてもかまいません。また、術後7日目から入浴(湯船につかる)してもかまいません。
仕事復帰の時期はいつ頃ですか?
- デスクワークの場合は、すぐに再開してかまいません。
- いきむほどの力仕事は、術後2週間は避けてください。
飲食での注意はありますか?
- 食事は特に制限はありません。
- 飲酒は術後数日間はお控えください。
合併症に関して、どのような注意をすればよいのでしょうか?
- この手術法では、合併症は少ないですが、合併症として報告されているものには、皮下出血、血腫・漿液腫(血や液のたまり)、持続する痛みやしびれ、尿閉、術後感染症、睾丸炎、などがあります。
38度を超える発熱があり、つらい場合には、退院時に処方された坐薬(ボルタレン)を1ヶ月使用して下さい。
術後数日は多少痛みがあります。しかし、痛みが強い場合は、処方された坐薬(ボルタレン)を1ヶ月使用してください。
術後数日は傷口がやや腫れることがありますが、腫れが徐々にひどくなる場合は、お問い合わせください。
手術当日・翌日は少量の出血や浸出液が認められることがあります。絆創膏全体から染み出してきた場合は、お問い合わせください。