地中海式健康和食コラム
和食は本当に健康食か?
和食が健康にいいという世界的な評価は1977年に報告された「マクガバンレポート」で注目されるようになりました。当時の米国は心臓病や癌等の慢性病がはびこり死因の第1位と第2位、米国民の食生活の改善に取り組む必要があったのです。「高カロリー」「高脂肪の食品(肉)」「乳製品」「卵」などの動物性食品を減らして、できるだけ精製しない穀物や野菜、そして果物を多く摂取するように勧告しました。そこで最も理想的な食事として挙げられたのが「日本の江戸時代中期の食事」です。主食は精製しない穀類、副食は季節の野菜、海藻、魚介類です。現代の和食は江戸時代中期のものとは大きくかけ離れたものになってしまいました。そこで私たちは「まごわやさしい」を合言葉に食生活を見直し心がける活動をしてきました。
「まごわやさしい」 とは健康に役立つ食材の最初の文字を覚えやすく言いあらわしたものです。
マグネシウムが健康のカギ
マグネシウムは数多くの酵素の補酵素であり、多くの臓器が正常に働くうえで不可欠です。マグネシウムが不足すると、インスリンの分泌が減少し、インスリン感受性が低下します。最近2型糖尿病が増えているのは、マグネシウムの豊富な「まごわやさしい」食材の摂取が減少していることもひとつの要因です。 またマグネシウムが不足すると、細胞内のNa-K(ナトリウム-カリウム)ポンプが正常に働かなくなりNaの排泄が低下して血圧が高くなります。 Na-Kポンプを通して細胞内からのKの流出が増大し不整脈を起こしやすくなります。また低マグネシウム血症の人は心血管死が増大することが数多く報告されています。マグネシウムの多い食事を摂取している人は心血管疾患、癌による死亡が少ないことも多く報告されています。
地中海式健康和食
食の多様化した現代で伝統的な和食だけでなく、レパートリーを広げることができないか考えていた時に「地中海式食事様式」にたどりつきました。地中海食は健康長寿であることが数多く報告されています。しかも食材が「まごわやさしい」に近かったので、我々の日々の食生活に取り入れれば和食とは異なった料理を楽しみながら健康にもなれると考えました。そこで地中海式健康和食の考え方を広めようと考えました。
理事長・院長 柳川達生