眼底写真
~眼底写真~
検診や人間ドックなどで行う「眼底写真」を撮ったことがありますか?眼底写真は人体の中で唯一、外から直接観察できる眼底の血管を映します。動脈硬化、高血圧、糖尿病などで起こる全身の血管の変化がここに現れます。 「目は心の窓」などと言いますが「眼は身体の窓」とも言えます。
■眼底とは
瞳孔の奥にある眼底には、カメラでいうフィルムの役割をする網膜という薄い膜があります。網膜は光や色を感じる細胞からなり、網膜が感じた情報を脳に送る視神経乳頭、網膜に栄養を与える血管(網膜動脈・静脈)が様々な形で枝分かれしながら走っており、中心部の黄斑部は視力を担う大事な部分です。眼底検査は特殊な機械を使って眼底の血管、網膜、視神経を観察する検査の事です。今日はその中でも眼底カメラを使った眼底のデジタル画像を撮る検査についてお話します。
○右目 正常眼底写真○
■眼底写真
検査室では、無散瞳型眼底カメラを用いて臨床検査技師が画像を撮影しています。暗い場所で瞳孔が大きくなることを利用して、暗幕の中で行います。無散瞳型カメラでは瞳孔を開く目薬を使わないので、検査後にまぶしくなったり、かすんだりしないという利点があります。
無散瞳で眼底写真が撮れるなら散瞳する必要はないのでは?と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか?「無散瞳」と「散瞳」との大きな違いは網膜の観察範囲の違いです。散瞳すると黄斑部から周辺部までの眼底全体をすみずみまで観察できます。無散瞳だと眼底の中央しか撮影できないので眼底の周辺から始まる網膜剥離などの異常は発見しにくいという欠点があります。健診などでは無散瞳で行い、眼科受診して医師が必要と判断した際には散瞳薬を滴眼して行う場合もあります。
■眼底検査でわかる事
最初にも述べましたが、網膜の血管は体の中で唯一直接見ることができる血管です。網膜血管の状態や出血の有無を見ることによって、高血圧や糖尿病、動脈硬化の状態が反映され、診断に役立ちます。動脈硬化は心筋梗塞、脳梗塞などの重篤な病気の原因となります。もちろん眼底出血の原因にもなります。糖尿病の合併症である糖尿病性網膜症や緑内障で視力低下などの自覚症状が出る前に発見できます。
○眼底出血写真○
■病気の早期発見のために
眼底検査は簡単にできる検査で、いろいろな体の病気や眼の異常を発見するチャンスとなります。一枚の画像で思わぬ病気が発見できるかもしれません。高血圧、糖尿病などで治療中のかたはもちろん、健康に自信のある方も是非一度検査を受けてみてはいかがでしょうか。