不眠症治療薬
~不眠症治療薬~
●不眠症について
不眠症とは、「夜寝つきが悪い」「夜中によく目が覚める」などの症状が続き、夜間よく眠れないため、日中の眠気、注意力の散漫、疲れといった種々の体調不良が起こる状態を指します。
不眠症は決して珍しいことではなく、誰でもなる可能性があります。現在日本成人の約5人に1人が、このような不眠の症状で悩んでいると言われています。小児期や青年期にはまれですが、20~30歳代に始まり加齢とともに増加し、中年、老年と急激に増加します。また、男性よりも女性に多いといわれています。
●不眠症の種類
不眠は症状により、4つの型に分けられています。
- 入眠困難
床についても、なかなか眠りにつけない。 - 中途覚醒
一旦眠りについても、翌朝起床するまでの間、何度も目が覚める。 - 早朝覚醒
起床しようとする時刻の2時間以上前に目が覚め、その後眠れない。 - 熟眠感の欠如
眠りが浅く、睡眠時間のわりに熟睡した感じが得られない。
これらの症状は同時に複数現れることがあります。
●不眠症を引き起こす主な原因
- 環境要因
暑さや騒音、明るさの影響など。 - 身体要因
年齢、性差、頻尿、痛みなど。 - 心の要因
悩みやイライラ、ストレスなど。 - 生活習慣要因
アルコール、ニコチン、カフェインの摂取、薬の副作用、運動不足など。
不眠症の治療はこれらの原因を解消することから始めます。
●睡眠薬の種類
現在、大きく分けて4種類の薬が使われています。それぞれ、効果が現れるまでの時間や、持続時間に違いがあります。症状によって、これらの薬を使い分けます。それぞれの特徴を表1にまとめました。
(表1)睡眠薬の特徴
●睡眠薬服用における注意
- 睡眠薬はアルコールと一緒に飲むと、効果が強く出すぎることがあります。寝酒は睡眠の質を下げてしまうため、好ましくありません。
- 薬を飲んだ後、ふらつき、脱力感があらわれることがあるので、夜間、トイレなどに行くときには、転倒に注意してください。
- 睡眠薬を服用した翌日は、眠気や集中力低下がみられることがあるので、車の運転や、高所での作業は避けてください。
- ご自分の判断で薬の服用を中止したり、増量したりすると、副作用が出現することがあるので、必ず主治医に相談してください。
- 睡眠薬は、患者さんの不眠の症状に合わせて処方されています。ほかの人に渡すことは絶対にしないでください。
●最後に
毎日がストレスの連続となっている現代社会では、不眠に悩む人が増えています。そのため、自分にあったストレス解消法を見つけることが大切です。健康な生活を送るために、睡眠薬について正しく理解し、より良い睡眠をとることが必要です。