バイオ医薬品の後続品 ~バイオシミラー
バイオ医薬品の後続品
~バイオシミラー~
●バイオ医薬品とは
バイオ医薬品には、ガン、糖尿病、関節リウマチなどの治療薬があり、治療効果が高いことから、多くの患者さんへ利益をもたらしています。
少し専門的な話になりますが、バイオ医薬品とは、遺伝子工学を応用した方法で、たんぱく質などの複雑な構造をした有効成分を、微生物や動物細胞に作らせたものです。世界初のバイオ医薬品は、糖尿病治療薬であるインスリンです。
化学合成で作られる従来の医薬品と比較して、バイオ医薬品は大変複雑な製造工程を経て作られています。また、製品の安全性、有効性を常に維持するために、高い品質管理基準が設けられています。しかし、高額であることから、治療を続ける患者さんの経済的負担が大きくなってしまうことが、問題としてあげられます。
●バイオシミラーとは
バイオシミラーとは、特許期間が終了したバイオ医薬品を、異なる製薬会社が、先行バイオ医薬品とほぼ同じ品質、安全性、有効性を有する医薬品として、承認を得て製造したものです。有効性、安全性に関する調査は、発売後も継続して行われています。
従来の医薬品の後発品であるジェネリック医薬品は、先行医薬品と同一の有効成分である一方、バイオシミラーは先行のバイオ医薬品に類似した医薬品であり、全く同じ有効成分ではありません。このように、ジェネリック医薬品とバイオシミラーでは異なる点が多々あります(表1)。
(表1)ジェネリック医薬品とバイオシミラーの比較
ジェネリック医薬品 | バイオシミラー | |
---|---|---|
有効成分 | 同一物質 | 類似した物 |
製品特性 | 同一性を示すことが容易 | 同一性を示すことが困難 |
低分子 | 高分子 | |
製造 | 化学合成 | 細胞培養 |
新規発売時の薬価 | 先発医薬品の原則60% | 先発医薬品の原則70% |
バイオシミラーの薬価は先行バイオ医薬品の原則70%と決められています。バイオシミラーの普及に伴い経済的負担が軽くなり、患者さんの治療選択の幅が広がることが予想されます(表2)。
(表2)国内の先発バイオ医薬品とバイオシミラーの薬価
薬価 | |||
---|---|---|---|
先発バイオ医薬品 | バイオシミラー | ||
成長ホルモン製剤 | ソマトロピン | 36,410円 | 24,930円 |
腎性貧血治療薬 | エポエチン | 3,292円 | 3,071円 |
好中球減少症治療薬 | フィルグラスチム | 9,481円 | 6,143円 |
関節リウマチ治療薬 | インフリキシマブ | 89,536円 | 59,814円 |
インスリン製剤 | インスリングラルギン | 2,525円 | 1,696円 |
●国内のバイオシミラー
2009年以降に多くのバイオ医薬品が特許期間の終了を迎え、バイオシミラーの開発が始まりました。現在国内では5種類のバイオシミラーが発売されています。2015年8月には、日本で初めてとなるインスリン製剤のバイオシミラーが登場し注目を集めています。
●最後に
今後も、さまざまなバイオシミラーが登場してくることが予想されます。
なにかご不明な点がございましたら、医師又は薬剤師に相談して下さい。