臨床実習指導者
~臨床実習指導者 ~
当院は、年間を通して看護学生の実習病院としての役割を担っています。
看護学生は、臨地実習を通して、既習の知識・技術をもとに看護の対象となる患者さんとの相互行為を重ね、看護実践に必要な基礎能力を獲得していきます。臨地実習は看護基礎教育において必要不可欠な科目として位置づけられていますが、実習では、学内という今までの慣れた環境とは異なる病院や施設に自身を置き、複雑な人間関係の中で繰り広げられる看護のリアリティーに直面する為、学生にとってはストレスや緊張の高い科目ともいえます。したがって、その指導にあたる教員や臨地実習指導者の存在は非常に重要であるといえます。
特に、指導者の学生への関わり方いかんで、学生の学習意欲や成長はより高められることから、指導者の教育技術の向上が重要です。それらを十分に考慮し、次に挙げる要点を念頭に置きながら指導を行っています。
①指導者の姿勢・態度
学生の考えを受け止め、理解・共感し褒めることで尊厳を認める事につながり、主体性を持って実習に臨む姿勢を整えます。忙しく余裕がない時も、威圧的や否定的でなく、常に意識的に「褒める」という事を実践していかなければいけません。
②指導方法
指導する際に、看護の方向性を示すなどあれこれ指示するのではなく、学生自身が思う看護を聞いた上で、一緒に考え実践していきます。
③患者・家族
看護の喜びの多くは、患者さんやご家族から得られるものであり、学生も同様に関わりの中で嬉しかった事、楽しかった事を見出しています。指導者の支援を受けながら学生が自ら患者さんに必要なことを考え、見つけて、行動した結果、患者さんやご家族の反応により達成感や充実感が生まれます。また指導者として、患者さんが学生へ直接伝えられなかった思いや反応を意図的に引き出し、学生に伝えることが、学生が主体的に看護をすることを支えることに繋がります。
④病棟の雰囲気
学生は、慣れない雰囲気で、不安や緊張感、時に恐怖心に満ちた状態で実習に臨んでいます。この時の心理状態は自分を守ることに意識が集中し、自分以外の事に感心が向きにくくなっています。その為、指導者はまず、学生が安心して実習に向き合えるよう病棟の雰囲気づくりをすることが求められます。また、学生が実習に来る事を職員に周知をし、学生の情報共有の仕方を工夫し、「いずれ一緒に働く仲間」という意識を職員が持てるよう働きかけていきます。
⑤ロールモデル
「学ぶ」の語源は、「まねぶ(学ぶ)」と同源で、「真似る」とも同じ語源です。学ぶことの第一歩は真似ることです。そして、学生にとってのロールモデルとは、看護師としてより良い状態に近づく為の指標であり、目標にしたい看護師の存在であるといえます。病院実習で看護師と接する中で、ロールモデルを見つけられれば、目標が具体的になり、課題も明確化し学生の主体的行動に結びつく一因となります。
⑥学校と病院の連携
学校と病院の管理者間では、患者さんと学生の安全を守る為の連携を図ることで実習の土台作りをしています。指導者と教員間では、実習の目的・目標、学生の特性を把握し、指導の一貫性を持つ事により、焦点を定め効果的な指導を行っています。学生は、一貫した指導により、混乱をきたさず、目的・目標に向けて教員・指導者の支援を受け、学びを深めていくことが出来ます。