胃がん検診の話
~胃がん検診の話~
〇がん検診とは
がん検診は、がんを対象にした検査です。胃や大腸、肺、乳房、子宮など、がんができる部分が異なれば、がんの特徴も変わってきます。そのためがん検診では、それぞれのがんを調べるのに適した検査が用意されています。
がん検診は一次検診、精密検査(二次検診)、がんの確定診断、治療という流れで進んでいきます。一次検診では「スクリーニング」といって、健康な人と、多少でもがんの可能性が疑われる人を見極めてふるいわけます。
〇胃がん検診
がんの中で日本人にもっとも多いのが胃がんです。そのため胃がんの研究も進み、診断法や治療法は、世界でも第一線のレベルにあります。さらに、集団検診が全国規模で普及しているのも日本の特徴です。こうした検診を利用して、自覚症状のない早期がんが発見された人の治癒率(5年生存率)は、90%以上です。
今や胃がんは、早く見つければ完全に治る病気だと言っても過言ではありません。
〇胃がんとは
胃は筋肉でできており、入口と出口が狭くなっている袋状の形状をしています。胃の主な働きは食べ物の消化・吸収と殺菌です。
胃の壁は、大きく分けて3層構造をしています。内側から粘膜(粘膜・粘膜筋板・粘膜下層)、筋層、漿膜(しょうまく)(漿膜下層・漿膜)という順に層が重なってできています。
胃がんは、胃壁の内側にある粘膜に発生します。内側の粘膜から徐々に粘膜下層、固有筋層、漿膜へと外側に向かって、がんが広がっていきます。
がん細胞が、粘膜または粘膜下層までにとどまっているものを「早期胃がん」といい、筋層より深く達したものを「進行胃がん」といいます。
◯胃がん検診の流れ
胃がん検診はバリウムを使ったX線検査です。造影剤のバリウムと、胃を膨らませる炭酸ガスを発生させる発泡剤を飲んで検査を受けます。発泡剤を飲むとゲップが出やすくなりますが、胃の粘膜を見やすくするためにゲップを我慢する必要があります。
また、膨らんだ胃の粘膜にバリウムを付着させるために、身体を仰向けやうつ伏せ、左右に回転させるなどの指示が出されます。バリウムは時間と共に粘膜から剥がれ落ちてしまうため、撮影を行いながらバリウムを付着させる事(身体の回転)を繰り返します。放射線技師の指示に従い、落ち着いて検査を受けてください。
なお、レントゲンで胃の内部を撮影するため、食事や飲料の摂取制限があります。
◯胃がんリスク健診
胃がんリスク健診は将来どれくらい胃がんになりやすいかというリスクを明らかにする検査です。
実際の検査では、採血を行い血清ペプシノーゲンとヘリコバクター・ピロリ抗体を測定し、胃がんの高リスク病変である萎縮性胃炎の患者とヘリコバクター・ピロリ感染者を見つけ出します。そこで胃がんを発症するリスクが高いと診断された場合には、検診の頻度を多くしたり生活習慣を見直すなど予防に努めることが可能です。