脳ドックの話
~脳ドックの話~
〇脳血管疾患のリスク
冬本番の季節となり、これから寒さのピークを迎えます。寒さに伴って増加してくる病気の一つに、脳出血があります。寒い時期に脳出血が多くなる理由は、暖かい所とそうでない所の温度差により、急激な血圧の上昇を起こしやすくなるからです。その時、脳出血を引き起こす原因となる脳動脈瘤や脳血管の異常がある場合、脳出血を発症する確率は大変高くなるのです。
また、脳出血と共に脳血管疾患の代表的なものに脳梗塞がありますが、こちらは夏場に多く発症する疾患です。この脳梗塞には、いろいろなタイプがありますが、高血圧が原因で発症するタイプが一番多く、脳出血も脳梗塞も高血圧症が最大の危険因子となっています。
これらの病気は、言語障害や麻痺などの重い後遺症をもたらすことも少なくありません。また厚生労働省発表の「平成26年人口動態統計の年間推計」によると、平成26年の全死亡者数推計は126万9000人で、そのうち脳血管疾患が原因での死亡者数は11万3000人となっており、前年同様、主な死因の第4位となっています。
〇脳ドックの役割
脳は一度損傷を受けると修復ができない臓器です。後遺症はある程度改善することはあっても、完全になくなることは少ないとされています。脳血管疾患は日本人が寝たきりになる原因となる疾患の第一位で、最悪の場合死に至る場合もあります。したがって発症してからの治療より、できる限り病気にならないように予防をすることが必要なのです。
脳ドックでは脳血管疾患の危険因子である未破裂脳動脈瘤や動脈硬化、血管狭窄、無症状のまま起こった小さな脳梗塞などを見つけることができます。これらの危険因子は無症候性といって、自覚症状が全くなく、通常の日常生活では気づくことができません。
そのため脳ドックを受け、発症まえに危険因子を発見して生活改善や定期的な経過観察など適切な予防策をとることが重要です。
また人間ドック等多くの健康診断がありますが、これらは脳以外の内臓の癌や心臓病についての検査が主なものです。脳ドックを受けない限り、脳は検査の対象にならないことが多いのです。
〇脳ドックを受けた方がいい人
一般的に、自覚症状がない場合でも40代以上の人は脳ドックを定期的に受けた方が良いと言われています。
また家族に脳疾患を発症した方がいる人や、高血圧、高脂血症、糖尿病、不整脈と診断されている人は年齢にかかわらず脳ドックを受けることをお勧めします。